昨日に引き続き、イーストウッド作品Part2です。
今回は『ミリオンダラー・ベイビー』と『パーフェクト ワールド』。公開当初に映画館で観たのですが、やはりぼんやりとしか覚えていなくて、「えぇー、こんな映画だったのぉ!」と驚きました。
『ミリオンダラー・ベイビー』ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン、そしてイーストウッド。前半のボクシングシーンは見ていて熱くなります。
ちなみに同じ女子ボクシングを扱った映画で安藤サクラの『100円の恋』がありますね。ヒラリーも安藤さんも仕事中にボクシングのステップを踏む。
私も一時期ボクシングジムに入ってたので、わかるなぁ、あの感覚。
しかし「ミリオンダラー」と「100円」では大きな違いがあります。タイトルマッチ戦でヒラリーは相手の反則により、意識はあるが体が動かせない状態になってしまう。ここからが後半で、人間味タップリのイーストウッドが魅せます。
肉親に絶望した寝たきりのヒラリーは、イーストウッドに「アクセルと同じようにしてほしい」と頼みます。アクセルは彼女が幼いころ可愛がっていた犬で、この犬が重い病気になったとき、父親がこっそり安楽死させたのです。
イーストウッドは実の娘から絶縁され、娘に出す手紙は全て受取拒否されています。ひとりぼっち同士の二人。
何があっても「ボス」イーストウッドを信頼するヒラリーの生き方を私は羨ましいと思いました。死んで悔いなし、信頼できる師に巡り会える人はごくわずかですが、そこには安寧があるのです。
それにしてもイーストウッドはかっこいいなぁ。『パーフェクト ワールド』ケビン・コスナーとイーストウッド、そして「バズ」役の子役。子どもと動物は「泣かせ」の常套ですから、泣いて当たり前です。
脱獄したケビンは「エホバの証人」を信仰する母子家庭から8歳の男の子を人質として連れ去ります。ハロウィン、クリスマス、ジェットコースター、綿菓子も禁止されている家に育った少年。
イーストウッド署長は、執行猶予がついたはずのケビンを刑務所に送った本人。
なぜなら、ケビンの父親には虐待癖があったからです。「刑務所の方が安全だ」
ケビンは子どもを虐待する行為を見ると見境がなくなる。それは逃亡中、親切に宿を提供してた老黒人に対しても同様でした。
その光景を目にした少年はケビンを撃ちます。撃たれても、ケビンはののしり声を上げませんでした。例のののしり声があって当然の場面なのに。そして、ケビンはバズに「だれかに撃たれるなら、お前に撃たれてよかったよ」と言うのです。
少年とケビンの交流はやがて来るであろう別れの予感の中で加速していく。辛くなるから、あんまり仲良くならないで〜と何度も思いました。
幼児虐待をテーマとした映画は救いがないものが多い(ように思います)。しかし、さすがイーストウッドは違う。
バズに手を引かれて、自首しようとしたケビンは最後イーストウッドの警告を無視した警官に撃たれて死にます。この警官は女性蔑視もしていたヤツで、イーストウッドは有無を言わさず殴り倒します。
どうやらイーストウッドの一部にキャラハンが入っていることは間違いありません。いや逆か、キャラハンはイーストウッドが生み出したキャラなのか。
今でいうプロファイラー役の女性捜査官がイーストウッドに言います。「あなたはベストを尽くしたわ」「どうだかな」イーストウッドはあのちょと眩しそうな目で呟くのでした。
ケビンは虐待されても父親からきたハガキを大切に持っていました。いつか父親の元に行こうとしていたのです。そしてこのハガキを死の間際、バズに渡そうして撃たれるのです。
父親と息子の物語、父親のいないバズと父親を恋うケビン。家族の関係はホント奥が深い。
『ミリオン〜』、『パーフェクト〜』、共に擬似家族の物語と言えるのではないでしょうか。たまたま続けて観たわけですが。確か『グラン トリノ』も同様ですよね。この作品はこれから再度観ます。
おおー、思わず長くなってしまいましたが、どうぞ今日も良い一日を!お付き合いいただきありがとうございます。
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