「なぜ君は共産党なのか」大島新の「なぜ君トーク」 |
ゲストは日本共産党の田村智子さん、「なぜ君は共産党なのか」。
国会で切れ味のいい討論に、毎回拍手してしまうタムトモさんの初めて聞く大学時代のお話。
「ずっと革マル派に妨害を受け続けたことで、だいぶ鍛えられたんだなぁって思います。原稿なんか見ずに頭の中で考えて受け答えしなくちゃなりませんから」
「そのころ、『チコちゃん』と呼ばれていたんですが、先輩方から『チコちゃんは(革マル派から)俺らが守るから』と言われて、合唱部の発表会に出ました」
(チコちゃん、声の通りがいいのは小学生から大学時代を通じて合唱部にいたせいか? ヤジに動じない肚の座り方もコレで納得だ)
タムトモさんの原点は『はだしのゲン』、以来原発問題に心を寄せていく。
そして改めて「この国の政治のあり方を変えていかねば」と決意したときの話は、思わずウルっと。
当時、国鉄民営化のなかで、多くの組合員の方々が不当な扱いを受けていたそう。
チコちゃんは新宿駅改札の駅員さんに、応援のメッセージカードをそっと渡たす。
その駅員さんはカードに目を落とした瞬間、世界が止まったように背中が動かなくなった。
それを柱の影からじっと見ていたチコちゃん。
(「わたしにもできることがある」ミッションを確信した瞬間だったのだろう)
対談の最後、大島監督がタムトモさんに聞く。
「1番きらいな政治家は誰ですか? 僕は竹中平蔵さんです」
「うーん、やっぱり国会を壊した安倍晋三ですね」
タムトモさんは「桜を見る会」疑惑追求の口火を切った方。
折しもこのトークの前日、不起訴不当が報じられるというタイミングである。
やはり田村智子さんは時代から求められている人なのだと思った。
そして、今回も大島監督のお人柄と質問力に魅せられた。
ご自分をチラ見せして、本音を引き出し、それを受け入れる柔らかさ。
タムトモさんも話しやすそうだったし、なにより楽しそうで、それは会場もリモートの視聴者にも伝わっていた(と思う)。
大島監督は質問が端的で短い。
つくづく質問は難しい。
よくあるのが、
前置きが長い、
一度にいくつも質問する、
延々質問の説明をする。
だから、会場の一般質問は場合によって最悪の時間になりかねない。
「質問は己の馬鹿を曝け出す」ちゅうことで、私自身は怖くてなかなか質問できない。
大島監督の質問は、事前の下調べ、相手への敬意、全体としての配分配慮などが根底にある。
そして、「自分がこの質問をされたら」と想定し、その答えも持っているように思う。
監督が選ぶゲストの方々もさすがで、話の尺を心得ている。
トークが独演会になってしまってはいけないのだ。
私がうんざりするのは、相手を忘れての長トークである。
大島監督はゲストに氣持ちよく話をしてもらい、聴衆には「初めて聞く」話を提供できる。
だから「なぜ君トーク」は未知のゲストであっても参加したいと思うのだ。
あ、そっか、私にとっては「徹子の部屋」の感覚に近い、うん。
失礼ながら、「なぜ君」まで大島監督のことは知らなかった。
大島監督が小川淳也さんと出会ったことを感謝したい。
これまでに出会ったことのない、この独特の雰囲氣はなんだろうな。
相手に寄り添いながらも、べったりしない。
河合隼雄が言う「冷たく抱き寄せ、暖かく突き放す」感じにも近いかも。
声質、口跡、話す速度、間の取り方、表情など、人の氣をそらさないものをお持ちだ。
つまりはお人柄というべきか。
シンクロニシティーは常に起こっていて、こころを開いている人にはそれが見える。
すべては氣づくこと。
小川淳也さんも田村智子さんも大島監督も、そして私たちも新しい潮流のなかにいて、大海を目指している……。
本氣でそう信じたい。