内田樹『街場の芸術論』 |
おはようございます。
内田樹『街場の芸術論』(2021年刊・青玄舎)を読んで、ストーンと腑に落ちました。
それは、なぜ韓国ドラマを観続けてしまうのか、についてです。
答えは巻末の平田オリザ氏との対談の中にありました。
ちなみに平田オリザ氏は劇作家、演出家。
2021年兵庫県豊岡市にできた日本で唯一演劇を学べる国公立の教育機関である芸術文化観光専門職大学学長。
云われてみれば、たしかにそうだわ、というのがまず、コレ。
「演劇を学ぶのは世界のスタンダードである」
そもそも長年アジア唯一の先進国であった日本が、今や見る影もなく意気消沈している理由は教育文化に投資してこなかった結果だと。
たとえば、韓国では国公立・私立合わせて映画・演劇学部がある大学が95もある。
人口比で日本の20倍だそう。
ここで学んだ人たちが韓流ドラマを支えている。
大学で基礎から演劇を学んだ演者や製作者サイドの人たちがネットフリックスドラマを作ってるわけで、思わず見入っちゃうのは当たり前田のクラッカーなのでした。
たしかにイケメン俳優のプロフィールを見ても、ほぼ大学の演劇科や映画科卒業。
スターになってからも大学院に在学中なんて方もいらっしゃる。
史劇において、主役だけでなく端役に至るまで、立ち振る舞いがピタッと決まるのは授業でちゃんと民族衣装を着て、殺陣もやっているから、なんだそう。
なるほどですねぇ。
土台作りに力を入れてきたからこその今の韓流ブームというわけか。
一見ラブコメであっても、家族や社会的弱者へのまなざしを忘れないから、ショローも涙を禁じ得ないわけです。
底力のある骨太な作品が多いのもうなずけます。
イギリスの田舎を旅したとき見かけた光景を思い出しました。
公園にある屋外ステージで、シェイクスピア劇のリハーサルをしてたんです。
シェイクスピアが普通の光景のなかにある。
日本で源氏物語が日常にあるか? ない、ない。
下世話な見方ですが、イギリスはシェイクスピアという資源でいまだに稼いでる。
かたや日本は世界に誇る文化資源、能、狂言、文楽、神楽、歌舞伎、落語とかたんとがあるのに、有効活用してないじゃん、って話ですよね。
残念ながら日本人の俳優さんでアートや演劇を語れる人、そんなに多くないような氣がします。
まぁ、俳優さんに限らず、なんですけど。
そうそう、演劇セラピーもあるな。
人は「演じる」ことが癒しになりますからね。
相手によって、何通りもの自分がいる。
自然とこうやって、こころのバランスをとっているんですな。
と、そんなことに想いが広がった本でした。
皆様、今日もご機嫌元氣な1日を。