『血脈』中巻 |
おはようございます。
佐藤愛子の『血脈』、現在中巻の終わりまで来ました。
第2次世界大戦を経て、一世を風靡した流行作家・愛子の父は仕事もなく、耄碌が進んでいる。
愛子は長男が生まれたものの、モルヒネ中毒者になって帰還した夫のそばで絶望感を抱いている。
長男サトウハチローは創作活動の絶頂期を迎えるが、実生活は2人目の妻、愛人が支えている。
下巻では、どんな展開を見せるのか。
母ミョウコウは愛子より少し年上、ほぼ同じ時代に生きていた。
今さらですが、戦時中のことなどもっと聞いておけばよかったと思います。
というのも、この本を読んで、母が戦時中に結婚した意味がわかったのです。
当時の駆け込み結婚の風潮、まさに愛子もそうして結婚する。
母の場合、結婚した直後に夫は戦争に行ってしまい、舅姑との暮らしが嫌だった、と。
その母は離婚し、4人の子持ちである父の後妻になるのはなんと4度目の結婚でした。
なかなかに波乱万丈な人生だった母。
晩年は普通のおばぁちゃんのふうでしたが、芯のところには激しいものがあった。
この辺、愛子の父に通じるものがあって、
ああ、母は老いていく己を、こんなふうに感じていたかもしれないな、
と思いながら読む。
ショローになってはじめて分かることがあります。
若いころは思いもしなかったことに考えが及ぶような。
よく考えるのは、ジブンの年齢との比較、今なら「母は65歳のときどう生きていたか?」。
亡き父の跡を継いで寺の住職となって、バリバリの現役でしたね。
バイタリティーがあったんだなぁ、ミョウコウ、ハハハ。
その有り余る力が私にむけられると、非常に厄介だったのも事実ですが……。
でも、そうでなければ80代で上京し、90代で和歌山に移住することはなかったでしょうな。
かなりむちゃな結婚を経て、やっと思春期と親離れを体験したワタシ。
それまでは親の言いなりのいい子だった(と思う)。
母はショロー期に、娘に反乱を起こされたわけです。
以降、私たち母娘は喧嘩ばかりしていました。
恣意的な見方をすれば、母にとっては、心配する対象、腹が立ってしょうがない相手がいたから元氣でいられたのではないか? ともいえる。
根底に肉親の情があることは言うまでもありませんが、ホント、家族ほど難しい人間関係はないと思います。
忖度なく言いたいことを言い散らかす。
なのに後腐れなく普段に戻る。
切っても切れない関係。
『血脈』においても、不良息子たちは父から何度も勘当されますが、いつのまにか元に戻っている。
それぞれの人生と、そこに紛れもなく脈々と流れる血。
日がな一日、ときおり散歩に出たりしながら、
「ははぁ~ん」
と思いながら読んでいる佐藤愛子『血脈』。
読み終えたら、今とは違う感慨があるかと思います。
また書きますね。
では、今日もご機嫌元氣な1日を。
お付き合いいただき、ありがとうございました。