2024年 01月 01日
2024年元旦も河合隼雄『ナバホへの旅たましいの風景』 |
あけましておめでとうございます。
元旦の朝はアメリカのニューメキシコに位置するチャコキャニオンの映像を見ていました。
昨夜、読んだ河合隼雄『ナバホへの旅たましいの風景』のなかで強く惹かれた場所です。
これらを作った人々が、この素晴らしい建物を捨ててどこかに行ってしまったこと、このことです。
文化や社会は「進歩」する、あるいはするべきであると考えている。(中略)「進歩」に貢献しようとして、あるいは、何とか「出し抜こう」として努力している人はたくさんいる。しかし、このように「進歩」ということを評価するようになったのは、ヨーロッパ近代になってからのことである。
そして、河合先生は次のような物語を想像するのです。
アナサジ文化が「進歩」し、壮大な建築物を築き、人々の往来がはげしくなったとき、大干ばつが続く。そのときメディスンマンが啓示を受け、「自然に帰ろう」と呼びかける。ひとびとはその言葉に耳を傾け、一斉に大きな建築物から離れ、それぞれが自然とともに住む生活に溶け込んでゆくことになった。そこには何のいさかいもなく、静かな行動だけがあった。
ここに、ぐっときたですよ。
アステカとかムー大陸とか、突然消えた文明も同じじゃなかろうか。
これ以上の進歩はいらない。
そう悟ったひとたちは、惜しげもなくこれまで作り上げてきたものを放棄して去る。
後世の人たちが「退化」や「滅亡」と評価しようが、そんなことはどうでもいい。
大事なのは、進歩ではなく、平安、安寧。
2年前の元旦、ワタシの抱負は「退縮」でした。
本書を読み、引き続き「この路線でよし」と思えました。
by cs-nanri
| 2024-01-01 10:53
| 本がなければ